2008年12月 6日

うでどけいのネジマキ子。

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腕時計のネジマキ子は、
その日、引き出しの奥へ放られた。

マキ子は不思議に思った。
いつもなら腕にまかれて、
一緒に仕事に出る時間だ。
けれども持ち主のフィメイルは、
彼女を置いて家を出た。

次の日も、その次の日も、
デートがあるはずの土曜日も、
白蝶貝が美しく光る
腕時計のマキ子は、
暗い暗い引き出しの奥だった。
それでもマキ子は、
いつでも一緒に出かけられるよう、
時を刻む仕事を怠けなかった。

30日経った頃、
引き出しの真っ暗な中で
声が聞こえた。
「もう、おまえの出番は無いのだから、
 コチコチコチコチを、止めた方がいい」

声の主は、もう動いていない、
老いた腕時計だった。

「そんなに張り切っていると、
 おまえ、捨てられるか
 売られてしまうのだよ。
 おまえの前の腕時計は、
 あんまり元気があるものだから
 靴といっしょに捨てられたんだ。
 こうやって、わたしみたいに
 しまわれても一緒にいたいなら
 ひっそりとすることだ。
 静かにして、思い出になるんだ」

それから15日後、
マキ子は時を止めたらしい。

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