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腕時計のネジマキ子は、
その日、引き出しの奥へ放られた。
マキ子は不思議に思った。
いつもなら腕にまかれて、
一緒に仕事に出る時間だ。
けれども持ち主のフィメイルは、
彼女を置いて家を出た。
次の日も、その次の日も、
デートがあるはずの土曜日も、
白蝶貝が美しく光る
腕時計のマキ子は、
暗い暗い引き出しの奥だった。
それでもマキ子は、
いつでも一緒に出かけられるよう、
時を刻む仕事を怠けなかった。
30日経った頃、
引き出しの真っ暗な中で
声が聞こえた。
「もう、おまえの出番は無いのだから、
コチコチコチコチを、止めた方がいい」
声の主は、もう動いていない、
老いた腕時計だった。
「そんなに張り切っていると、
おまえ、捨てられるか
売られてしまうのだよ。
おまえの前の腕時計は、
あんまり元気があるものだから
靴といっしょに捨てられたんだ。
こうやって、わたしみたいに
しまわれても一緒にいたいなら
ひっそりとすることだ。
静かにして、思い出になるんだ」
それから15日後、
マキ子は時を止めたらしい。
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